宇治飾りで彩る正月準備
新年を迎える特別な準備
新年の始まりを心待ちにする中、三重県伊勢市のおかげ横丁では、内宮周辺の宇治地区に伝わる伝統的な正月飾り「宇治飾り」が製作されています。
この飾りは、地域の自然から採取されたサカキやマツ、アセビといった常緑樹を用いて作られ、その温かみある姿が多くの人々に愛されています。
飾りは主に、玄関に飾る「門飾り」、台所に飾る「庚神（こうじん）さん」、水場に取り付ける「とんぼ」といった3種類で構成されており、それぞれに意味や役割が込められています。
これらの飾りは、新年を迎える準備の一部として、地域の文化と伝統を伝える重要な要素です。
高齢化と伝承の課題
ところが、宇治飾りの作り手たちが高齢化し、また市販の飾りが普及する中で、この伝統的な技術を知る人が少なくなってきています。
そんな中、森田和夫さん（92）が中心となって、平成22年から伊勢福の従業員に手ほどきを行い、技術を次世代へと伝えていく活動を行っています。
森田さんは「内宮のお膝元なのでサカキを使う正月飾り。
地域の人に伝え残したい」と語られており、その言葉には深い思いが込められています。
彼の熱意があるからこそ、多くの人々がこの伝統に触れ、学ぶ機会を得ているのです。
製作体験の楽しさ
この日、従業員7人が参加し、森田さんの手ほどきを受けながら宇治飾りの製作に取り組みました。
初めて製作に挑戦した村上舞さん（31）は「昔の人の知恵を生かしたすてきな飾り。
作り方を教わり、継承していきたい」と語っており、彼女の笑顔からも楽しさが伝わってきます。
自分の手で作り上げた飾りが形になる過程は、何とも言えない喜びを感じることでしょう。
このように、製作体験を通じて地域の文化や伝統に触れる機会は、都会の暮らしの中では味わえない貴重な体験です。
地域の絆を深める
宇治飾りを通じて地域の人々が集まり、教わり合い、また一緒に作り上げていく姿は、まさに地域の絆を深めるきっかけとなっています。
正月を迎える準備をしながら、地域の文化や歴史を再認識することができ、参加者にとっても素晴らしい学びの場となるのです。
新たな年を祝う準備をしながら、心の中に温かな気持ちを持ち寄っているのが伝わります。
このような活動が続くことで、宇治飾りの伝統が絶えず継承されていくことを願っています。
伝統と未来をつなぐ
最後に、森田さんのような高齢者の知恵や技術を次世代へと引き継いでいくことはとても大切です。
宇治飾り製作の体験をとおして、人々が地域の文化を再発見し、未来へのバトンを渡すことが出来れば、正月飾りはただの装飾ではなく、地域を象徴する大切な存在となることでしょう。
新年を迎えるにあたって、宇治飾りがどのように人々の心を温め、地域を一つにするのか、これからの動きが楽しみでなりません。
